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    声明文    

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安保関連法案に反対し廃案を求める天理大学教員有志声明

 

 安倍政権は、昨年7月1日に閣議決定をしてそれまで自民党政権時代も含めて歴代内閣が一貫して否定していた「集団的自衛権行使」の限定的容認をしました。その主な根拠として、1972年砂川事件最高裁判決、安全保障環境の変化を挙げております。これに対して憲法研究者を中心に批判の声が高まっております。メディア報道で周知のように、憲法研究者・行政法研究者等の圧倒的多数が「集団的自衛権行使」容認を基本とする安保関連法案(以下法案とする)は「違憲」であると指摘しております。

 たとえば、今年7月11日朝日新聞掲載のアンケート結果では、回答を寄せた憲法研究者の122名中違憲104名・違憲可能性15名=119名(98%)の憲法研究者が違憲または違憲の可能性を指摘しております、合憲と回答した者は2名(0.17%)だけでした。また、6月末に行われた公法学研究者に対するNHK緊急アンケート結果は7月23日の「クローズアップ現代」で紹介されましたが、公法学研究者の90%以上が違憲・違憲の疑いがある、5%だけが合憲であると回答しました。さらに、ノーベル賞受賞研究者も含む多様な分野の多数の研究者から、法案が違憲であり、日本が戦争に巻き込まれることを危惧する声が挙がっております。当然、憲法研究者を中心に安倍政権が推し進める法案は、根拠が妥当でなく違憲な立法でありそれを押し通すことは「法的安定性を欠く」「立憲主義に反する」「法の支配を逸脱する」といった批判が噴出しております。

 ところが、安倍政権は、このような多くの研究者の声に耳を傾けることなく7月16日に衆議院で採決・可決するに至りました。審議を十分尽くしたということが理由でしたが、11本からなる重要な法案をわずか110時間強の審議というきわめて不十分なプロセスでの採決・可決でした。国民のなかからも「説明不足である」「内容がよくわからない」「戦争に巻き込まれる不安を感じる」という声が数多く挙がっております。

 参議院に審議の場が移されてからは、安倍政権はもっぱら「中国、北朝鮮による脅威論」に基づいて法案が日本の安全・防衛のために必要だと強調しだしています。しかし、そもそも「仮想敵国」を名指してその脅威を唱えることは、アジアでの緊張関係を「外交努力」ではなく「軍事力」によって抑止していくという果てしない「軍拡競争に陥る」危険性を孕んでおります。また、たとえ「他国の軍事的脅威」が存在するとしてもそれはまさに「個別的自衛権」に関わる問題であり、「集団的自衛権行使」とは直接関係がありません。

 私たちは、天理大学で研究・教育する者として、安倍政権の強引な法案成立を試みる対応には大きな疑問を抱かざるをえません。戦争のない平和な世界をも志向する内容である「陽気ぐらし」という理念、「他者への献身」という平和のために献身するという内容も含んでいる「建学の精神」からは、「違憲立法」でありかつ他国の戦争に日本が巻き込まれる恐れがある法案には反対の声を挙げざるをえません。この機会に、天理大学でも教職員・学生が、「軍事力」を通してではなく、「対話」「外交努力」を通して日本及び世界の平和・安全をどう構築していくのかを議論していくことがきわめて重要であると考えます。戦後70年の節目に、世界的にもブランドである「平和憲法」の意義を再確認する必要があるといえます。

 上記のような理由から、私たちは、安倍政権の法案に反対し廃案にすべきことを求めます。そして、天理大学教職員、学生、卒業生の皆様にもこの声明に賛同の声を寄せていただき共に日本及び世界の平和・安全をどう構築していくのかを考えていくことを切に希望します。

 

2015年8月6日   

 広島原爆投下70年の日に犠牲者・関係者の皆様に黙祷し平和の意味を噛みしめながら。

呼びかけ人

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​26名。事務局でお名前をお預かりしています。

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呼びかけ人25名、賛同者73名 合計98名(2016年4月1日現在)

 

掲載させていただいていたメッセージは、事務局で保管させていただいています。

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